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Tech in a New Era
IAPP Global Privacy Summit 2025 現地レポート[Vol.10] 

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転載:IAPP Global Privacy Summit 2025

いま、生成AIをはじめとする新たな技術が、私たちの社会、ビジネス、そして個人の在り方を大きく変えつつある。しかし、その可能性の裏側には、データの濫用、偏った判断、セキュリティの脆弱性といった新たなリスクが潜んでいる。

この変化の渦中で求められているのは、「AIを使うこと」そのものではなく、「AIをどう使うか」という倫理的判断である。本講演では、Google、Palantirをはじめとした業界団体のリーダーたちが、技術・政策・組織の観点から率直に議論を交わした。

◆ この記事でわかること
===
・AIによるプライバシーリスクや、Googleの事例から見るAIガバナンス、プライバシー補語技術(PETs)の可能性。
・AIの進化に伴い、プライバシー保護と制度設計の見直しが求められていること。
・今後企業にとって、技術力だけでなく感情の流暢性や倫理観が重要な人材要件となること。
===

登壇者

Jules Polonetsky, CIPP/US, CEO, Future of Privacy Forum
プライバシーのリーダーシップと研究の推進を目的とするグローバルな非営利組織「Future of Privacy Forum」のCEOを15年間務めている。同組織は、新興技術を支援する原則に基づいたデータ実践の促進をミッションとしている。
数多くの行動規範とベストプラクティスの開発を主導し、データ保護法の制定を支援し、世界中の機関や立法機関に対して専門家としての証言を行ってきた。IAPPウェスティン名誉フェローであり、2023年のIAPPリーダーシップ賞の受賞者でもある。
『The Cambridge Handbook of Consumer Privacy』(ケンブリッジ大学出版局、2018年)の共編者。彼の執筆物や研究は、www.fpf.orgおよびGoogle ScholarSSRNで閲覧可能。1989年から1990年まで、ニューヨークのストローク・アンド・ストローク・アンド・ラバン法律事務所で弁護士として勤務。ニューヨーク大学法科大学院とイエシバ大学を卒業し、ニューヨーク州とワシントンD.C.の弁護士資格を有する。認定情報プライバシー専門家(CIPP)。

Kate Charlet, Director, Privacy, Safety and Security, Government Affairs and Public Policy, Google
テクノロジーと公共政策の分野に精通。以前は、カーネギー国際平和財団のテクノロジー&国際問題担当の初代ディレクターを務め、10 年間にわたり米国政府で公務員として、サイバー政策担当国防副次官補(代行)、アフガニスタン担当カントリーディレクター、ホワイトハウス国家安全保障会議の戦略企画ディレクターなどを務めた。
プリンストン大学で分子生物学の学士号、ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際研究大学院で戦略学の修士号を取得。

Kate Goodloe, Managing Director, Policy, BSA | The Software Alliance
プライバシーに関する政策方針の策定と推進、および人工知能と法執行機関のアクセスに関する問題に取り組んでいる。
以前はコヴィントン・アンド・バーリング法律事務所にてプライバシーとサイバーセキュリティ部門のシニア・アソシエイトとして勤務。テクノロジー企業に対し、プライバシーと法執行機関のアクセスに関する多様な問題について助言を提供し、プライバシー関連の訴訟における企業の代理を務めるとともに、連邦取引委員会(FTC)や議会の調査にも対応した。メリーランド州連邦地方裁判所のJ・フレデリック・モッツ判事の法律事務官を務めた経歴も持つ。ミズーリ大学ジャーナリズム学部とニューヨーク大学法科大学院を卒業。

Amanda Kane Rapp, Head of Legal, US Government, Palantir Technologies
パランティア・テクノロジーズ株式会社 法務部長

AIの進化が突きつける、プライバシーとの葛藤

生成AIや検索エンジンの技術革新が加速する中、ユーザーデータの取り扱いを巡るプライバシーリスクが再び注目を集めている。

2025年4月、米司法省は独占禁止法対策の一環として、Googleに対し検索関連データを含む広範なユーザーデータを第三者と共有するよう求めていると報道された。この「ユーザーデータ共有」は、10年以上にわたる期間限定で実施する案が検討されており、プライバシーリスクへの懸念も指摘されている 。

過去には、匿名化された検索履歴から個人が特定された事例や、Netflixのデータから政治的嗜好が推測された事例があり、たとえ「名前が書かれていないデータ」であっても、検索の組み合わせなどいくつかのデータを合わせると個人が浮かび上がるというリスクがある。技術の恩恵とリスクのバランスは極めて繊細であり、今後AIが「個別最適化」へと進化する中で、データの取得・活用・共有のあり方を再設計する必要がある。

国際政策の現場で起きている変化──EUと米国の動向

かつて「世界で最も厳しいプライバシー保護法」と言われたGDPR(一般データ保護規則)を牽引してきたEU。しかし、ここ数年の生成AIの急成長と、米中によるAI分野での先行に対して、「現状のGDPRのままではEUは競争力を失う」という危機感が高まっている。

本講演では、EUが方向転換の兆しを見せていると分析された。パリAIサミットでは「安全性(Safety)」だけでなく「行動(Action)」をテーマに掲げ、「AI大陸アクションプラン(AI Continent Action Plan)」の採択など、イノベーションとの両立を模索する姿勢が明確になってきている。

一方、米国では、国家安全保障、産業競争力、民主主義の防衛という観点から、AI政策が進化している。政府による大統領令の刷新や、行政機関によるAI導入の推進など、規制と実装のバランスを意識した政策形成が進行している。

相互運用可能なルールづくりを目指す国際的な取り組み──たとえばGPAI(Global Partnership on Artificial Intelligence)への関与──も、企業のグローバル展開においてますます重要になってきている。

企業の責任──Googleの行動指針とスケーリング

生成AIの登場により、企業は「早く導入しなければ競争に負ける」というプレッシャーを感じる一方で、AIによる偏見の助長・不正確さ・法令遵守といった懸念にも直面している。

Googleでは、「大胆に、かつ責任をもって行動する」という原則を掲げ、社内でも社外でも共通の行動指針としている。責任ある行動として、「製品が意図したとおりに機能すること」を追求しており、ユーザーにとって適切に、そして安心して利用できるものでなければならないと考えている。AIツールの採用とユーザーからの信頼性は密接に結びついており、ビジネスにとって極めて重要な要素であると言える。

AIを自社製品に大規模に組み込んでいく仕組み(scaling)も非常に重要である。AI原則(AI principles)を確立し、それらを基盤として行動を始めることである。GoogleのAI原則には、「安全性」「説明責任」「公平性」「人々にとって有益であること」などがあり、日常業務にしっかりと根付いている。

また、AIを責任を持って活用するには、方針(原則)だけでなく、その実現のためのプロセス自体も、全社的に広く効率的に実行できる形で設計されている必要がある。たとえば、社内での事前テスト、脆弱性を意図的に探す脆弱性検証(レッドチーミング)、外部の専門家との連携、研究開発やツールへの投資などが挙げられる。これらは一度実施すれば終わりではなく、運用後も外部からのフィードバックを受け取りながら継続的に見直しを行い、新たな脅威や課題を把握していくループを維持する必要がある。

PETs(プライバシー強化技術)が拓く新たな可能性

ガバナンス体制の一環として、PETs(Privacy-Enhancing Technologies)の役割も注目されている。PETsとは、個人データを保護しながらも分析や利活用を可能にする技術群を指し、「責任あるデータ活用」の実現可能性を広げるものである。

2024年12月に、Google CloudはSWIFT(国際銀行間通信協会)と連携し、国境を越える決済で発生する不正行為の対策を強化するために、PETsを用いて詐欺対策を行うというプロジェクトを発表した。

PETs(プライバシー強化技術)は、「守り」のためだけの技術ではない。むしろ、ビジネスの新しい可能性を切り開く「攻め」の技術である。単なるリスク対策ではなく、データを安全に活用するための基盤として機能し、イノベーションを実現する手段となる。こうしたPETsの開発と社会実装を進めることが、国際的なAI競争において重要な鍵となっており、今後も注力すべき分野とされている。

AIと労働の未来──「人間らしさ」こそが差別化要因に

生成AIは、すでに多くの職種に変化をもたらし始めている。たとえばGoogleでは、ソフトウェア開発におけるコードのかなりの部分がAIによって補助されており、開発者はより創造的な業務に集中できる環境が整いつつある。

しかし、AIの補助によって新人の育成が不要になるわけではない。特に若年層にとっては、AIツールの活用は当然のスキルとなっているが、企業が採用や人材評価で重視すべきは「感情の流暢性(emotional fluency)」である。これは、自他の感情を適切に認識し、理解し、自然に表現・対応できる能力を指す。テクノロジーに強いことが前提となる一方で、これからの時代には「人とどう関わるか」「どのような配慮ができるか」といった人間的な資質がより重要となる。

すなわち、企業にとっては「AIを使いこなせる人材」に加えて「倫理観や感情の理解力、判断力を備えたプロフェッショナル」を育てることこそが、今後の競争力の源泉となると言える。

以上

===

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IAPP公式サイト:https://iapp.org/conference/global-privacy-summit/

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